木村良三工務店とは、2000年に会社を設立してからずっと仲間の一員として仕事をしてきましたが、それより前の祖父の代から木村さんとの関係は続いています。おそらく私たちが最も古い業者の一つではないでしょうか。なので、木村組の発足当初からスターティングメンバーとして関わっており、その歴史を共に歩んできたと自負しています。
技術集団 木村組の人々Part 1
有限会社 若松左官工業所
- 代表取締役
- 若松 重樹氏
- (左官工)
仕事の特徴について
木村組とは付き合いとして長いとお聞きしていますが、いつ頃からご一緒されているのでしょうか?
左官職人さんというのは、実際にはどのようなお仕事なのでしょうか?
基本的に下地から仕上まで、建築に関わる幅広い工程に関わっています。江戸時代からの大工と左官がやっているような仕事の中で、下地工事から仕上工事まで様々な技術が必要になります。そして様々なニーズにお応えするために、新しい建材についても学んでいかなければなりません。ですがそこを苦労としては考えておらず、むしろ面白さを感じている部分ですね。特に最近では、注文住宅やデザイナーズ住宅での仕事が多く、その都度異なる仕上材や技法を駆使して、建物に個性と美しさを与えるよう努めています。
コミュニケーションについて
木村組会長として見た、木村組の強みはどんなところなのでしょうか。
仕事を代々受け継いでいる私たち(若松左官工業所)以外にも、同じように3世代前からお世話になっている業者さんもいますので、経験というものが強みになる部分かなと思います。経験がたくさんあるということは、いろんな引き出しを持っているということですので、そこから自分たちが持っている知識を基に様々なアドバイスをしたり、若い人たちに伝えていければ良いかなと考えています。また、木村組には多様な技術を持った職人が集まっているので、それぞれが独自の強みを発揮しながら仕事をしています。組織全体が一丸となって取り組めるよう、より良いコミュニケーションとチームワークを実現していきたいですね。
職人さんから木村組は仕事がしやすいと聞きました。
違う業種でも経験年数が増えてくると仕事に対する考え方や、向き合い方が似てくるんです。例えば塗装屋さんの仕事であっても左官屋がアドバイスしてできることもあるという具合ですね。お互いにコミュニケーションをとり合って、様々なことで手助けしていくというのが木村組の特徴だと思います。そうした現場での雰囲気づくりは、木村良三社長が心を砕いてきた結果だと感じています。私は木村組の会長をさせてもらっていますが、木村社長の思いは職人のみんなに届いています。今の木村組はその思いを受け取った職人一人ひとりがそれに共感してできた形なんだと思います。
やりがいについて
左官というお仕事で一番のやりがいは?
自分の仕事に対しては、毎回がチャレンジの連続で簡単な仕事はありません。特に最近では、職人の数が減っている中で、高い精度と美しさを求められる仕事が増えており、それに応えるのは容易ではありません。しかし、その挑戦があるからこそ、毎日が新しい学びと成長の場となります。
そして何より、施主さんに喜んでもらうのが一番嬉しいですね。仕上げに関してはプロですのでしっかりとした精度にはこだわりがありますし、厳しい部分はありますけれど、求められた精度でものを作るという点は、最もやりがいを感じる部分のひとつです。十数年前に母屋の和室を担当させていただいた施主様から、訪れたお客様に和室の壁を褒められたと聞いたときはとても嬉しかったですね。施工したのはお茶室なんですが、昔ながらの聚楽壁と呼ばれる土壁を施工しました。施主様がお茶の先生でしたので、お茶室を見慣れている方から褒められるというのは、大きなやりがいに繋がっていますね。
今後の展開
後継者不足・人材不足について、危機感などはあるのでしょうか。
そうですね。どんな業種でもそうでしょうけど、やっぱり日々進歩していっていろんなことに挑戦していかないと、特に左官に関しては後継者不足が否めないので、左官の仕事をつなげてやっていくには他の左官屋との横のつながりを広げていく必要があるとも感じています。建設業界全体で後継者不足で人手不足ではあると思いますが、左官業は特にそうかもしれません。5年10年で1人前という、修行するっていうことが、今の若い人たちにはあまりなじみが無いですからね。
これから挑戦していきたいことは?
お茶室の仕事をやりたいというのはあります。左官屋として茶室の仕事というのは花形ということもありますが、以前作った際はまだ自分より上の人間がおりましたので、私はどちらかというとサポートか補助役というような立場だったんです。そして親方となった今、自分で1軒のお茶室を建てたいという夢はありますね。また、伝統的な技術を後世に残していくことは、私たち職人の大切な役割だと思っています。実際、現代の建築現場では、昔ながらの技術を活かす機会が減ってきているのが現状です。そうした中でも、自分たちの手で伝統を守り続けることが、次の世代に伝えるべき重要な使命だと感じています。