木村組とは 木村組の人々

技術集団 木村組の人々Part 2

大工棟梁

松下 孝三

仕事の特徴について

棟梁として現場を回していくには、一緒に働く職人さんたちを熟知していないと難しいですよね。

(松下)

そうですね、棟梁として大工さんや職人さんにどこを任せるか、適材適所の指示を出すことがまず大切だと思っています。例えば、細かな作業がすごく得意な人や作業のスピードが早い人、木材加工が得意など、やはりそれぞれの特色を考えながら図面を読み込み、人の配置を考えて作業の指示をしています。現場では各職人の特性を見極めて「キミはこれが向いているから、こっちを頼むぞ」といった具合に指示を出しながら、チームワークを高めることも大切にしています。そのためには、やっぱりそれぞれの職人さんのことをよく知っている必要があるので、みんなと話をしたり、どんなことに挑戦したいのかを聞きながら接するようにしていますね。

仕事におけるこだわりをお聞きしてもいいですか?

(松下)

「真心を込めて丁寧に」というのがこだわりですね。
自分がその仕事に愛着を持ってやっていれば、施主様はもちろん見てくれたすべての人に伝わるんじゃないかという気がするんですよ。例えば、自分が担当した箇所を何度も掃除したり、細部にまで気を配ったりすることで、それが積み重なって、最終的には関わったみんなが喜んでくれるのが一番の幸せと呼べるんじゃないでしょうか。そういった気持ちで仕事をしているので、いつも自分が手掛ける建物は我が子のように思えてきますね。

木村組の大工棟梁として自負するところは?

(松下)

「技術集団木村組」という看板を背負って仕事に向き合っています。これは自分だけではなく、メンバーの皆さん一人一人がそれを認識した上でしっかりと自分の持つ技術を活かしてくれているということですね。それが自分にとってまた勉強にもなっています。そういった環境なので、自分はもちろんのことメンバー全員が「もっと腕を磨きたい」という気持ちを持って切磋琢磨しているような気がします。そうした現場で働けていること自体、とても嬉しいものです。こうした気持ちを大切にしながら、どちらかというと現場監督の立場に近い自分が職人と向き合いながら全体を見渡すようにしています。

コミュニケーションについて

職人さん全員を指揮する棟梁としてどんなことを意識されていますか?

(松下)

腕の良い技術者同士がお互いに尊重しながら仕事ができるように心がけています。ここで働く職人さんたちはみんなそれぞれの技術を持っているからこそ、お互いに気遣いをしながらやっているんです。いろんな個性がある中でも各々がやりやすいようにその本領を発揮できるように考えているのだと思います。やっぱり他社ではできないものを、この集団で作り上げていきたい、自分もそこに関わっていきたいと考えています。

また現場での職人とのやり取りは重要ですが、設計事務所の方とのコミュニケーションも大切にしています。一流の設計者の方が一生懸命書いてくれたその図面をしっかりと読み込んで、真心を込めて表現する。事務所や現場で顔を突き合わせてコミュニケーションすることで、設計者の方がどんな思いでその図面を描いたのか、その思いをキャッチしたいなといつも考えています。

そしてもう一つ、いろんな職人さんがいるので、みんながいつでも冗談を言いながら和気あいあいと、それでいてしっかりとしたコミュニケーションが取れるようにできればいいなと思っていますね。業界的にはピリピリしている現場もあるかとは思いますが、木村組としてはそうした雰囲気にならないように目指している部分もあります。

やりがいについて

この仕事を通して感じるやりがいはどんな部分なのでしょうか。

(松下)

自分が現場の先頭に立って皆を引っ張っていくことで、ひとつの建物が完成した時の達成感は格別です。もちろんそれを見て、お客さんに喜んでもらえるのもやりがいにつながっています。あとは、出来上がった建物をみて「松下さんらしい建物だね」と言ってもらえると、自分なりの表現ができたのかなと嬉しくなります。もっと言えば、木村組なら他ではできないようなものを作り上げていけるのではないかと考えています。より複雑で、他社さんでは無理と言われるような建物や建築物を手掛けていくことで、さらにチャレンジできる新たな依頼が木村組に来るようになります。それが多くの人々に評価され、自分たちにしかできないものがどんどん生まれていけば、それも大きなやりがいになるだろうと考えています。

今後の展開

これから先、木村組の中でどうありたいと考えていますか?

(松下)

この仕事は設計者の方の意図をいかに噛み砕いて、自分の解釈で表現できるかが大切だと思っています。音楽で言うところのコンポーザーのような、楽曲をアレンジしていく感覚に近いのではないでしょうか。設計された図面などを分析し、自分なりの解釈をすることで生まれる木村組のオリジナリティを、これからもお客様や建物を見た人たちに感じていただけるような役回りをしていきたいですね。