木村組とは 木村組の人々

技術集団 木村組の人々Part 7

株式会社 サンポウ

建築石材部 部長
川口 忠士
(石工事)

仕事の特徴について

建物で使用する「石」というのはどういったものなのでしょうか。

(川口)

普段はあまり意識されないかもしれませんが、都内にはさまざまな建物があって、例えば国会議事堂や都庁などは外壁が全部石でできているんですよ。10年くらい前までは、ビルの外壁は石材が流行っていて、都内の多くのビルに使われていたんです。今では少なくなりましたが、それでもコンクリートじゃないなって気づく部分があるかもしれません。普通の人にはなかなかわからないですよね。

昔のマンションではタイルがよく使われていましたが、高級なビルや商業施設になると、石を張ることが多かったんです。石材って、一つの大きな石を切り出して使うんですけど、サイズもさまざまで、高さ600mm、幅900mmから1,200mmくらいの石を乾式工法で張り付けるんですよ。こういうところって、建物を見るときに注意して見ないと気づけない部分かもしれないですね。

サンポウさんは群馬県の企業だと伺いました。

(川口)

うちの会社は群馬の沼田に本社があるんですが、温泉が多い地域なんです。そのため温泉のお風呂の工事に石材を使うことが非常に多いんですね。お風呂の工事が比較的得意です。もちろん、個人宅のお風呂の工事も手がけますが、特に旅館の温泉やスーパー銭湯など、大規模な施設の石工事をよくやっています。お風呂の工事は非常に特殊で、防水処理や複雑な加工が絡んでくるので、普通の石屋さんはあまりやりたがらないんですよね。でも、うちの会社はその辺が得意で、比較的スムーズにやれるんです。ある意味、ちょっと変わってるかもしれませんね。

木村組での仕事とは大きく違うところはあるんでしょうか。

(川口)

木村良三工務店さんからお仕事をいただけるようになってから、非常に難しいご要望が増えたんです。もちろん、リスクを避けることも重要です。それだけに真剣に打合せを重ねて「どうやったらできるのか」を常に考えるようになりました。その結果、以前より完成度の高い作品が増えました。最近ではむしろ積極的に挑戦を行うようになり、知恵を絞れば意外とできるんだなと実感しています。

うちの会社ももう50年以上の歴史がありますが、その経験と実績が、こういった挑戦を支えているんだと思います。特に、大きくて重いものを現場で施工する際には、他の職人さんとのやり取りも頻繁に行うことが必要になります。その中で培ったコミュニケーションとチームワークが、今の自信につながっているんです。

コミュニケーションについて

今、チームワークという言葉がでましたが、もう少し伺ってもいいですか?

(川口)

木村良三工務店さんとのお仕事は本当に抜群にやりやすいですね。現場のスタッフ全員が全体で同じ方向に向いてますし、職人の要望も聞いていただけることが多いので、非常にスムーズに進められます。

例えば、現場で材料の置き場が必要な場合や、材料を運ぶための通路や足場が必要な場合の要望にも、積極的に「どういうのがいいですか?」と聞いてくださるんです。通常、こうしたリクエストはうちからお願いすることが多いんですが、木村良三工務店さんは先に聞いてくれるので非常に助かっています。

こちらが必要なものをお願いするということは、時間とお金がかかることもありますが、木村良三工務店さんはそれを承知の上で、仕事がしやすいようにと、できるだけ対応してくれます。こういった環境のおかげで、現場での作業がスムーズに進むだけでなく、木村組としてのチームワークがしっかりと機能していると感じます。

それらはリスクヘッジにも活きているんですね。

(川口)

石工事はリスクが高く、特に初めて取り組む現場では危険回避が大変重要になります。そのため、協力会社の方々には、しっかりとリスクを考えた上で対応してもらう必要があります。木村良三工務店さんはその点において、とても親身になって協力していただき、私たちが抱えるリスクを一緒に考えてくれるので、とても仕事がやりやすいです。

木村良三工務店さんとは一緒に仕事をして7年目に入りますが、最初からとてもスムーズに信頼関係を築くことができました。皆さん、もともと長く仕事をされている方が多いですが、新しく加わる我々に対しても自然に受け入れてくださり、新しい仲間もスムーズに溶け込むことができます。

これまでに携わられた木村組での仕事で、特に印象的だったものは?

(川口)

木村組との協力で手がけた現場の中で特に印象的だったのは、セットバックやオーバーハングといった複雑な形状をした柱の制作でした。その柱に使用されている石は、すべて3次元的な加工が施されており、石の横目地がすべて平行で、一枚の石が正面、左右、上下すべての角度が異なるという、非常に高い精度が求められました。

この高度な精度を実現するためには、非常に精密な図面作成と、それに基づく工場での高精度な加工が不可欠でした。そして、現場での施工もまた大きな挑戦でした。取り付け時にはミリ単位の調整が必要で、石を固定する位置や角度に一切妥協が許されない作業が続きました。

このような難易度の高い工事は、石に対する深い理解と愛着を持つ職人や管理者でなければ、その価値や難しさを理解するのは難しいかもしれません。外から見ただけでは、その苦労はほとんど分からないため、まさに「隠れた職人技」といえるでしょう。

今後も、こうした挑戦的なプロジェクトに取り組む中で、石工事の技術をさらに磨き、難易度の高い工事にも果敢に挑戦していきたいと考えています。

ここ数年で石加工の業界に変化はありましたか?

(川口)

業界自体が流行り廃りに左右される部分が大きいんです。特に、今は都内でビルの外壁に本物の石を使うことが少なくなってきています。

20年前、15年前までは、都内のビルで外壁に石を使うことが普通でしたが、今ではその数が減っているのが現状です。デザインの流行が変わることも期待していますが、将来的にどうなるかは何とも言えないですね。ただ、街中での石を使った工事は少なくなっていますが、リゾート地や温泉街、例えば軽井沢や箱根などの別荘地ではまだ需要があります。特に精度の高い技術力は、時代が変化しても必ず求められ続けると思います。

これからの展開としては、リゾート地だけでなく住宅街での石工事に可能性と期待を抱いています。外壁に石を使った住宅は、個性が際立ち、非常に魅力的です。住宅の場合は、特にご依頼内容のこだわりが強く、納まりも非常に特殊ですが、そういった挑戦を続けていきたいですね。それを乗り越えていくことが、私たちの今後の成長につながると考えています。

やりがいについて

大変なことも多い業界だと感じますが、どんなときに一番の達成感があるのでしょうか。

(川口)

石工事の材料は基本的にすべてオーダーメイドなんですよ。それぞれの現場に合わせた石を使うので、同じ柄や質感のものは世界に一枚しかない、まさに天然の一品なんです。だから、毎回の工事がそれぞれ特別で、終わるたびにその現場ごとの特徴や思い出が残ります。石という素材は、他の仕上げ材とは違って、自然そのものです。木材と並んで、非常に特別で誇りを持てる仕上げ材だと思っています。

一番の苦労は、やはり石の特性に由来するものが大きいです。天然の石は非常に重く、硬いため、加工や取り扱いが大変です。また、現場での施工も慎重に行わなければなりません。さらに、石は自然のものなので、予測できないことが多く、現場ごとに対応が異なることも難しさの一つです。それでも、こうした苦労を乗り越えることで、唯一無二の仕上がりを実現できるという点がやりがいにもなっています。

今後の展開

木村組の中だからこそ見える「石」の可能性は?

(川口)

木村組という技術集団と一緒に仕事をすることで、私たちもさらに多くのことに挑戦したいと考えています。木村組の仕事に対する真剣さや誠実さに感銘を受けており、それに応えるべく、私たち石工事の職人としても高い技術力とノウハウを持って、どんなに難しい石工事にも取り組んでいきたいです。木村組との仕事を通じて、石工事の新しい可能性を感じています。今まで業界的に挑戦されていないような工事でも、木村組との連携の中でならやれる自信があります。

木村組との協力を通じて得た経験に感謝し、その期待に応え続けるためにも、これからも誠心誠意を持って仕事に取り組んでいきたいと思います。他の業者ではできないような仕事も、私たちが必ずやり遂げるという決意を持って、今後も挑戦を続けます。