鳶職というと高所で足場を組んで作業するイメージかと思いますが、自分の場合は土工として地面を掘る作業もしています。地下の掘削作業とかも一緒に行う鳶職は鳶土工と呼ばれたりもします。高所での作業ではみなさんが普段目にするような、家を建てる際に必要な足場を組んでいく仮設工事が主ですね。
技術集団 木村組の人々Part 5
株式会社 星工務店
- 渡辺 哲也氏
- (鳶・土工・型枠工)
仕事の特徴について
鳶職ということですが、高所以外の作業も担当されていると聞きました。
仕事の中で大切にされている部分は?
仕事のクオリティも大切にしていますが、やはり命に関わる作業でもありますので、そうした部分は繊細さが求められています。器具のチェックや手順の確認などを確実に行いながら、自分と周りの職人の命を最優先して作業を行っていますから、仕事の効率や丁寧さも同時に求められていると感じています。また私達鳶職の仕事は最終的には全部外して姿が無くなってしまう足場の作業などが多いので、仮設の工事と呼ばれています。なので、手を抜こうとすれば抜けてしまう部分ではあるのですが、やっぱり後工程のために足場を組んでいますので、その人たちが使いやすい足場を組むとか、危なくないような作業環境と作るとか、次の業種に渡すのを意識してというか、そういった方々が使いやすい足場を組んでいます。
コミュニケーションについて
木村組では対話でのやりとりを重視しているそうですね。
はい。木村良三工務店さんや他の職人さんとのやりとりは常に現場で行っています。現場を見ながら関係する人たちみんなで話し合うようにしています。もちろん都度必要なタイミングで集まっていますし、担当者だけで話し合うこともありますが、なるべく現場で話せるようにしています。現場を見ながら話すことでわかりやすく、状況を把握しながらチームワークを高められていると感じています。木村良三工務店さんとお仕事をすると「話しやすいな」と感じることがたくさんあります。多分、木村社長が先頭に立って、そういうのは気にしてもらっていると思います。仲間同士、職人さん同士で真面目さの中にも気軽さを感じながらやりとりできる現場の雰囲気になっているのではないでしょうか。木村良三工務店さんとは長い付き合いがありますが、仮説の工事をしているときからその看板を背負って仕事しようと思っています。だからこそ信頼していただいていると思いますし、話しやすい雰囲気で良いチームワークをつくっていただけていると感じています。
だからこそ仕事のクオリティも上がっていくということですね?
まずは関わる皆さんが安心してもらえる作業を続けていきます。他の現場などを見ているとコストカットなどでどうしても危なっかしい場面を見てしまうこともあるのですが、自分たちの身体のことはもちろんのこと、周りの住人の方や通りすがりの方にも安心感を与えられるような現場づくりを心がけています。
その上で完成を共に喜びたい。私達にとって、作業の最後に足場を外すときが除幕式のようなものなんです。自分たちも嬉しいですが、その場にいるお客様や地域の方と喜びを分かち合っていく、そのために全力で仕事に取り組み、後悔しないものをつくっていきたいです。
やりがいについて
木村組での仕事の中で嬉しいことというと?
やっぱりその家を注文した人が出来上がった時に喜ばれている姿を見たときの達成感は一番大きいです。私達の仕事を通じて、最終的に木村良三工務店がお客様から喜んでいただけるように心がけています。そこから次回の依頼もいただける、リピートしていただけるというのはとてもありがたいですし、生きがいになっている部分もあります。
今後の展開
鳶職の業界で近年の変化はありましたか?
ここ10年ぐらいで仕事について根本的に変わった部分はありませんが、技術は進歩しています。仮設に使う材料や器具なども変わってきているので、そういったものを取り入れて効率よく仕事ができるようにしていきたいと思っています。あとは働く人の高齢化と若い人が入ってこないという問題もあるので、そこをどうするかは考えているところです。やっぱり10年前よりは、みなさん体力的にも厳しくなってきているので、なるべく効率よく、作業を省力化しないといけませんね。手を抜くわけではなく安全面やクオリティ面に影響しないよう、可能なところは簡素化していく。例えば新しい機器を導入して、力を使わなくても効果的な仕事ができるようにするといった工夫は必要だと思っています。
木村組の一翼として考える展望は?
今後も今まで通りのスタンスで実直に仕事と向き合って行きたいと思っています。もちろんその中で木村良三工務店とともに、求められる仕事をしっかり完璧にしていきたいです。鳶職の仕事でもある「足場」は今後も絶対的に求められるものだし、それはこの先もずっと変わらずにやっていく。組んだ足場は最終的にはなくなってしまいますが、ものを作る際の「型」と同じで、なければ建物は完成しません。その「型」を作る際に、完成形をしっかりと把握して尊重していくことが、これからも求められることなのだろうと思っています。